和歌山県警の警察犬「ヨハン号」(雄のシェパード、4歳)が4月、和歌山市内の山中で行方不明になっていた高齢者を短時間で発見した。ヨハンは2018年に警察が直接訓練する直轄警察犬になってから、行方不明者の捜索などで力を発揮している。
今月11日、和歌山北署の署員らは、家族から「朝出かけたきり帰ってこない」という届けを受けた男性(70代)を昼ごろから捜索したが、夕方になっても見つけられずにいた。男性は携帯電話を持っているが、電波が弱く、大まかな場所しかわからない。暗くなると、見つけるのがさらに難しくなる。ヨハンの出番となった。
男性の枕カバーのにおいをかいだ後、地面に鼻をつけながら、どんどん山の中に入っていく。指導手の庵野(いおの)勝信巡査部長(42)が続くと、やぶの中から「俺はここや」と声がした。現場到着からわずか5分ほど。男性は無事、保護された。
この活躍をたたえ、署は22日、ヨハンと庵野さんを表彰した。湊隆弘署長から表彰状を受け取った庵野さんは「出動がない時も愚直に訓練を積んできた結果だ」と話し、ヨハンにはドッグフードが贈られた。
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県警によると、昨年の警察犬の出動回数は78回で、2015年(28件)の3倍に上る。ヨハンが18年に県警初の直轄警察犬になったことが背景にあるという。
きっかけは、16年8月に和歌山市であった4人が死傷した発砲事件だった。銃を持ったまま逃走する容疑者を追う際、県警は警察犬の出動を考えた。だが当時は、民間の指導手のもとで訓練を受ける嘱託警察犬しかいない。付き添う指導手の安全を考え、断念した。
直轄警察犬は警察が直接飼育し、指導手は警察官だ。鑑識課の村上一徳次席は、「ヨハンが直轄警察犬になり、気軽に出動をお願いできるようになった」。
ヨハンは訓練を重ね、昨年も、かつらぎ町で行方不明になっていた60代男性を発見。行方不明者の遺体を見つけたこともある。
村上次席は「犬の嗅覚(きゅうかく)をもってしても、行方不明者の発見は簡単ではない。今後も大事な場面で力を発揮してほしい」と期待を寄せる。(国方萌乃)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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