本土からの修学旅行生と沖縄の若者 ギャップを再生産しないために

■沖縄季評 山本章子・琉球大学准教授

 沖縄県中南部の大型商業施設で県外から来た修学旅行生をよく見かける。県内で愛用される島ぞうりをはいていないので、私服でも地元の子ではないとすぐに分かる。2019年には約41万人弱(約2400校)来沖した修学旅行生は、新型コロナウイルス感染拡大で20年、21年はそれぞれ約7万人(約400校)に激減したが、去年は約26万人(約1370校)にまで回復した。

 1981年に沖縄の大学などが始めた教育セミナーで1日だけ沖縄戦跡・米軍基地巡りをしたところ、本土から参加した高校教員が次年度は戦跡・基地巡りを中心にと要望。広島・長崎と並び、沖縄も平和学習を行う修学旅行先として人気となった。

 平和学習の中心は長らく沖縄戦体験者による証言だった。日本軍の看護のため動員された15~19歳の生徒ら、ひめゆり学徒隊の生存者が言語を絶する体験を語り継ごうと建てた、ひめゆり平和祈念資料館糸満市)には89年の開館から今年3月末までに約2370万人が訪れる。だが元学徒の高齢化で定期的な語りが難しくなると、2015年からは戦後生まれの館員が証言を引き継ぐ。資料館は21年に「戦争からさらに遠くなった世代」が共感しやすいよう展示を一新、元学徒と話し合いながら戦後世代が試行錯誤を重ねる。

 体験者の証言に頼る平和学習…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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