1923(大正12)年の関東大震災直後に起きた福田村事件が森達也監督(67)によって映画化され、存在が知られるようになってきました。千葉県松戸市在住で文筆家の古谷経衡さん(41)は「当時も今も変わっていないことがある」と言います。事件から学び取れることは何か、聞きました。
――森監督は「映画で描いたことは今も起こり続けている」と言います。
「作中の在郷軍人の長谷川が象徴しています。彼は『デモクラシーは多数決』と言いました。明治国家とはいえ、普通選挙もあり、デモクラシーという言葉はみんな知っていた。だけど本来、民主主義は多数決じゃないですよね。デモクラシーという言葉を知っているだけで身に付いていない。長谷川を含め、ほとんどの人が民主主義を解釈していないのは、戦後の日本も変わらないと思います」
――今も昔も、知識として理解して判断する力が付いていないということでしょうか。
「リテラシーがないから疑わないんです。現代の人たちはナタやヤリを持ってないだけで、ネットの言葉で人が死んでしまうわけです。昔は情報が新聞に限られていたから、デマを信じ込んだという人もいます。ならば情報の選択肢が多い現在はそのような事件が起こらないのか? 起こっているじゃないですか」
民主主義を育てるには、どのようなことが必要でしょうか。インタビューの後半で古谷さんは「疑うこと」の重要性を語ります
――関東大震災直後、流言飛…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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