札幌市の観光名物でもある路面電車(市電)の延伸計画で、市は事実上断念する方針を固めた。住民の利便性や観光客の回遊性の向上に向け、20年以上前から検討が続いていたが、市は内部で「延伸は極めて困難」とする調査報告をまとめた。延伸の代わりに予約に応じて運行する「デマンド交通」などを検討する方針だが、延伸を求めてきた市民団体は反発している。
5日、市庁舎。「市電を守り再配置をすすめるプロジェクト」代表の荒川尚次さんは険しい表情で、吉岡亨副市長と向き合った。「市電をいかした街づくりが重大な危機を迎えている」とする決議文を手渡した。荒川さんは元共産党市議で長年、市電の存続や延伸問題に力を注いできた。
延伸案が具体化したのは1999年。当時の桂信雄市長の諮問機関がまとめたのが端緒だ。①既存ルートの西4丁目とJR札幌駅を結ぶ「都心地域」②西15丁目とJR桑園駅を結ぶ「桑園地域」③JR苗穂駅と札幌駅周辺を結ぶ「創成川以東地域」の3地域の計9ルートの計画案がある。
路面電車をめぐっては21世…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル