札幌市、2030年冬季五輪招致へ計画公表 開催経費900億円削減

 札幌市は29日、招致を目指している2030年冬季五輪パラリンピックの大会概要案を公表した。これまで3100億~3700億円と試算していた開催経費を最大900億円削減し、2800億~3千億円とする。今夏の東京五輪では開催経費の肥大化に批判が高まったことから、招致への市民の理解を得るため、既存施設を有効活用する方針。市は来年3月までに、北海道内の他地域の住民も対象にした意向調査を実施し、招致の参考にする。

 概要案は29日午後の市議会招致調査特別委員会で公表した。

 開催経費のうち施設整備費は、これまで800億~1400億円としていた試算を最小の800億円にとどめる。札幌市負担分は最大600億円とみていたものを450億円とする。

 また、大会運営費は従来は2300億円とみていたが、2000億~2200億円とした。

 支出では、従来は1700億円とみていたその他運営費を式典の簡略化などで1200億~1400億円に減らし、新たに新型コロナウイルス対策などで200億円の予備費を盛り込んだ。他は観客席の仮設費などが600億円。

 収入は、IOCの負担金とスポンサー収入などが1600億~1800億円、チケットやグッズのライセンス収入などが400億円。大会運営費は原則、スポンサー収入などでまかない、札幌市の税金投入はないとした。

 札幌市は来年1月から市民への「対話」と題した説明の場を設け、3月までに道内の住民への意向調査を行う。ただ、この調査は招致の是非を決定するものではなく参考にとどめるという。

 市は調査や議会の意向などを踏まえ、5~6月に正式な概要計画をまとめる方針。今後は市民、道民の間で招致の機運がどれだけ盛り上がるかが焦点で、調査で慎重論が多かった場合の対応も注目される。

 札幌市は14年11月に当時の上田文雄市長が26年冬季五輪招致を表明。その後30年の招致に変更したうえで準備を進めている。東京五輪の開催が1年延期されたため招致活動も事実上停止していたが、今後は招致を巡る議論が本格化することになる。

 30年の冬季五輪をめぐっては、札幌のほか米ソルトレークシティー、スペインバルセロナ周辺が招致を検討しているとされる。(佐藤亜季)

(かっこ内は従来計画)

●施設整備費

800億円・うち札幌市負担は450億円(800億~1400億円・同400億~600億円)

※大会の有無にかかわらず既存施設の改修を行うことを前提に整備。札幌市保有施設の改修は市が実施

●大会運営費

《収入》

IOC負担金、TOPスポンサー収入 800億円(従来と同じ)

国内スポンサー収入 800億~1000億円(1100億円)

チケット、ライセンス収入など 400億円(従来と同じ)

収入計 2000億~2200億円(2300億円)

《支出》

観客席の仮設費用など 600億円(従来と同じ)

その他運営費 1200億~1400億円(1700億円)

予備費 200億円(新規)

支出計 2000億~2200億円(2300億円)

札幌冬季五輪での競技会場案

札幌冬季五輪での競技会場案

●競技会場は13。既設の改修で対応し、新設会場はなし

札幌市(かっこ内は主な競技)

西岡バイアスロン競技場(バイアスロン)

月寒体育館(カーリング)

新月寒体育館(アイスホッケー)

真駒内公園屋内競技場(同)

つどーむ(フィギュアスケート、ショートトラック)

大倉山ジャンプ競技場(スキージャンプ)

白旗山競技場(クロスカントリースキー)

サッポロテイネスキー場(アルペンスキー)

札幌国際スキー場(フリースタイルスキー、スノーボード)

さっぽろばんけいスキー場(同)

【道内他地域】

帯広の森屋内スピードスケート(帯広市、スピードスケート)

ニセコ(倶知安町・ニセコ町、アルペンスキー)

【道外】

スパイラル(長野市、ボブスレー・リュージュ)

【競技会場以外】

札幌ドーム(開閉会式)、市営月寒団地(建て替えで選手村に)など

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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