第2次世界大戦中にリトアニアでナチスの迫害から逃れようとしたユダヤ人に「命のビザ」を発給した外交官・杉原千畝(ちうね、1900~86)と幸子(ゆきこ、1913~2008)夫妻の功績をたたえる碑前祭が5日、静岡県沼津市の港口公園で開かれた。出席者らは緊迫する東欧や中東の情勢に思いをはせ、夫妻の人道の精神に立ち返ることの重要性を分かち合った。
杉原夫妻の碑は、千畝の生誕120年、ビザ発給から80年にあたる20年に幸子の出身地である沼津市に建立され、碑前祭が毎年開かれている。今年はリトアニアとイスラエル両国の在日大使館関係者ら約200人が出席し、夫妻の偉功をしのんだ。
夫妻の孫でNPO法人「杉原千畝命のビザ」の杉原まどか理事長は、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ情勢を念頭に「東欧や中東で信じがたいことが起きている。一人の勇気ある決断で社会を変えることができる」と訴えた。
イスラエル大使館のモール・エリヤフ報道官は、10月7日に始まったハマスによるイスラエル攻撃について「ホロコースト以来のユダヤ人の命に対する暴挙」と強く非難しつつも、「このようなときこそ杉原夫妻の遺産から教訓を学ぼう。私はイスラエルのために祈るが、同時に隣人のためにも祈る」と話した。(南島信也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル