村上春樹さんイタリアで講演 「世界の暗闇照らしたい」

 作家の村上春樹さん(70)が、イタリアの文学賞グリンザーネ賞(ボッテリ・ラテス財団主催)を受賞し、イタリア北部アルバの劇場で11日夜(日本時間12日未明)、授賞式に出席した。

 同賞は、過去にノーベル賞作家のパトリック・モディアノ(フランス)や、故アモス・オズ(イスラエル)らも受賞。授賞式に一般公募で選ばれたイタリア人のファンら900人が詰めかけた。

 村上さんは、「洞窟の中の小さなかがり火」と題して講演。「バルザックやドストエフスキーのようには書けないが、自分なりの物語を書けるんじゃないかと思った」と、ジャズバー経営を経て29歳で小説を書き始めた経緯から語り始めた。「小説の歴史は人間が洞窟で暮らしていたときから存在します」として、たき火の前で語られ、人々を空腹や恐怖からつかの間解放した物語が、小説の原初形態だと続けた。小説家はそのような語り手たちの末裔(まつえい)であり、「世界の色んな場所の暗闇を照らすことができたら、それにまさる喜びはありません」と締めくくった。(アルバ=板垣麻衣子)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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