東海地方で唯一の常設寄席として親しまれる「大須演芸場」(名古屋市中区)。愛知県にも3度目の緊急事態宣言が適用されたことで、今月15日に予定されていた大衆演劇の公演は延期に。昨年10月に定席寄席を再開したものの、中心客の高齢者は戻らない。新型コロナウイルスによる苦境が1年以上続いている。
「全国で開けてくれている寄席はここくらい。ありがたいです」
5月初め、東京や大阪からやって来た落語家らが高座から感謝を述べた。東京や大阪で寄席が休席となるなか、感染対策をしながら落語や漫才の「定席」を開いてきた。1、2日には女性落語家らが集う企画があり、盛況だった。落語家・春風亭ぴっかり☆さんの真打ち昇進も発表され、来場者と喜びを分かち合った。
大須演芸場はコロナ禍で昨年3~9月に定席を休演。10月から、月7日間だった定席を4日間に短縮して再開し、高座のにぎやかさを取り戻していった。
ただ、チケットの売れ行きが好調だったのは再開直後だけで、結局通常の6~7割減の状態が続く。客層の中心だった高齢者の来場が減ったままで、地方から30~50人規模で来ていた団体予約もなくなった。コロナ禍前の昨年2月は団体客が800人入ったが、今年2月はゼロだった。
演芸場は、独演会やコンサー…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル