最初に緊急事態宣言が出て2週間がたった。累計の感染者数は7都府県とも増え続けているが、福岡は約3日で約2倍に急増していたのがここ1週間は勢いが収まり、倍増する期間は7日より長い。福岡を除く6都府県は宣言前後は約1週間で倍増していたが、最近1週間ほどはわずかに勢いが緩やかになってきている。ただ増加が鈍っても、感染拡大が収束するまでの期間を見通すのは難しい。
朝日新聞が厚生労働省の公表データをもとに計算したところ、宣言前の7日までの1週間では、東京は累計感染者数が2倍になるのに約6日かかるペースだったが、21日までの1週間は約11日だった。福岡は7日までの1週間は約3日で2倍だったが、直近1週間は約12日に。大阪や神奈川でも同様の傾向だ。
新型コロナの潜伏期間などから、報告される感染者数の傾向は2週間ほど前の感染の状況を反映しているとされる。ソフトバンクの子会社「アグープ」がスマホアプリで集めた位置情報をもとに推計した、7都府県の主要駅周辺半径500メートル(毎日午後3時現在)の1週間の累積人口をみると、新宿駅は、6日までの1週間は前週より約18%減。7日からの1週間は前週比約33%減、14日からの1週間はさらに前週比約28%減だった。7都府県とも宣言後に大きく減る傾向は共通していた。
政府は不要不急な外出の自粛などで人同士の接触機会を7~8割減らすよう求めている。人出が必ずしも人との接触を表すわけではないが、感染者の増加の鈍化は自粛の影響が出つつある可能性がある。
ただ、1月下旬と最近1週間の人出の削減率を比べると、梅田(大阪)が81%、新宿74%、天神(福岡)65%、大宮(埼玉)61%、千葉52%と都市ごとのばらつきは大きい。
入院患者が回復したとしても退院まで時間を要する。累計患者数は増え続けており、病床不足など医療現場がさらに逼迫(ひっぱく)する恐れは高い。
沖縄県立中部病院感染症内科の高山義浩副部長は「外出自粛の成果はこれから明らかになる。クラスター(感染者集団)対策と、自主的な感染対策という日本の手法が有効だったのか、続ければいいのかが見えてくる。新型コロナウイルス自体はすぐには地球上からなくならないことを前提に、どう付き合っていくかを考えていく必要がある」と語る。(嘉幡久敬、伊藤隆太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル