東京五輪、検証できない?組織委文書に公開制度なし 過去には廃棄も

 北京五輪が開催される中、東京五輪パラリンピックの契約書や関連文書の継承作業が今後、大会組織委員会で本格化する。後世の検証に欠かせない作業だが、組織委は文書の作成基準などを公開しておらず、情報公開制度の対象でもない。組織委が解散後、資料がどこまで明らかになるのかは不透明だ。(釆沢嘉高、長野祐介)

 組織委の文書については、法人の運営ルールなどを定めた法律で、「理事会の議事録」や「会計帳簿」、「事業に関する重要な資料」は作成し、保管するよう義務づけている。組織委が解散した後も、理事ら個人が「清算人」に就任して文書を10年間保存する決まりだ。

 ただ、何が「重要な文書」なのかは組織委の判断に委ねられている。都には公文書作成の基準を定めた条例があり、「重要」な事案の定義も公開されているが、組織委にはそれがないためだ。

 五輪について組織委は「国内外の関心が高く、大規模かつ公共性の高いイベント」と位置づけ、自発的に理事会の議事録や関連事業の発注書などをHP上で公表してきている。ただ、内容は一部にとどまり、掲載が一定期間に限られるものもある。

 また、公益財団法人である組織委は国や自治体のように情報公開制度が適用されず、公開請求をかける仕組みがない。資料を受け継ぐ清算人についても、公開請求の仕組みがないのは同様で、文書の閲覧、入手のハードルは高い。

 文書の適切な保管や継承を目指し、都議会では2020年3月に「オリパラ文書条例」を議員提案により可決した。条例では清算人などの関係機関が受け継いだ文書について「都が利用できるよう要請するものとする」と定めている。

 ただ、要請はあくまで「お願いベース」。都は条例に基づいて清算人に「閲覧など必要な協力を要請していく」としているが、どこまで応じるのか、そもそもどんな文書があるのかもフタを開けてみないとわからない状況だ。組織委は、都が将来的に資料閲覧の要請などをしてきた場合の対応について、「都などと丁寧な検討・調整を重ねていく」とするにとどめている。

IOCと国、都、大会組織委による4者協議の前に言葉を交わすIOCのジョン・コーツ調整委員長(左)と東京都の小池百合子知事=2019年11月1日正午、東京都中央区、遠藤啓生撮影

■マラソン会場の札幌移転問題では…

 組織委の文書が閲覧できない…

この記事は有料会員記事です。残り2237文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment