ガバナンスのあり方に大きな課題を残した――。東京都の監査委員は6日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の活動に関する監査報告書を公表し、汚職・談合事件が発覚した運営の課題を指摘した。透明性の確保やコンプライアンス徹底の不足を挙げた。一方、コロナ下での開催については「大きな問題が生じることなく会場運営を行った」などと評価した。
監査は、都議や外部有識者ら5人の監査委員が2020年12月~23年4月に実施。組織委の運営体制や調達の適正化など10項目を検証し、約100ページの報告書にまとめた。
報告書によると、新型コロナ対策については、大会の1年延期▽原則無観客開催▽約541万枚のチケット払い戻し――などを挙げて、「迅速かつ的確な対応」だったと評価。大会関係者の参加人数削減など大会の簡素化も進めたとして、「未曽有の状況下で、大きな問題なく会場運営を実施した」とした。
また、大会招致の段階で7340億円とされた大会経費などの予算については、段階的な見直しと経費削減を「機動的、弾力的かつ効率的な財務統制」だったと評価した。
一方、大会後に談合事件が発覚したテスト大会の業務委託契約などに関しては問題視した。
報告書では、テスト大会の計画や実施にあたり、組織委が幹部職員を対象に談合などに関するコンプライアンス研修を実施したことを明らかにした。しかし、多くの理事らについては、「非常勤の役員だった」ために、こうした研修が実施されていなかったと指摘。この点について、「元役員による非違行為の間接的な要因となった可能性がある」と述べた。
また、民間企業から組織委に出向してきた職員の配置も問題視した。テスト大会契約の仕様書を作成した部署に、応札企業からの出向者が配属されていたことから、「利益相反の防止の徹底が必要」と指摘。今後、同種の組織を運営する際の課題とした。
監査報告書を受けて、昨年解散した組織委の残務処理を続けている清算法人は朝日新聞の取材に対し、「記載された内容を真摯(しんし)に受け止めている。都と連携しながら、清算結了に向け適切な業務執行に努めたい」とコメントした。(太田原奈都乃)
監査報告書の主なポイント
《新型コロナ感染拡大への対応…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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