記者コラム 「多事奏論」 編集委員・稲垣康介
6年前の5月22日は日曜日だった。
スポーツ部の同僚と午後5時に東京都内の住宅街で待ち合わせた。日本オリンピック委員会(JOC)会長だった竹田恒和氏が、外出先から自宅に戻るのを待った。
2020年五輪招致で東京の招致委員会がシンガポールのコンサルティング会社に払った2億3千万円についてフランス司法当局が捜査していた。国際オリンピック委員会(IOC)委員の買収に使われた疑いが持たれていた。招致委理事長だった竹田氏は契約書に自分がサインをしたかを濁していたが、周辺取材で確証をつかめた。
竹田氏は午後10時すぎに帰…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル