東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県の災害公営住宅で高齢化が進んでいる。朝日新聞の調べでは高齢化率は4割超に上り、全国の公営の借家の高齢化率より6ポイント高いことも判明した。コミュニティーの維持や高齢者の孤立、支援の担い手の育成、共助の基盤づくりといった課題が表面化している。
朝日新聞は昨年12月~今年2月、3県の災害公営住宅を有する55の自治体(岩手県と54市町村=岩手14、宮城21、福島19)にアンケートを実施した。その結果、3県の災害公営住宅は2万4987戸あり、2万3258世帯・4万1875人が暮らす。住人のうち65歳以上の人の割合を示す「高齢化率」は44・4%に上っていた。
公営の借家における人員の状況(2020年国勢調査による)に基づき高齢化率を算出したところ、全国の公営の借家は38・4%、3県全体は32・2%だった。東北の災害公営住宅の高齢化が顕著であることがわかる。
多くの自治体で、被災者であることを理由に見守りなどの対応を手厚くしていない現状も浮かぶ。質問に対し「手厚くしている」と答えたのは13自治体にとどまった。
岩手県は「(高齢化は)災害公営住宅に限った課題でない」と回答。ほかにも「高齢者等の見守りについては、災害公営住宅を含めた地域全体に対するもの」(宮城県大崎市)、「震災直後は手厚くしていたと思うが、現在は他の住宅と同様の見守りとなっている」(宮城県多賀城市)との答えがあった。
災害公営住宅を一般市民に貸…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル