政府の入国制限緩和の方針が5日発表され、滞っていた海外からの留学の受け入れも、今後増えていく見通しとなった。
東京大学の林香里副学長は5日、取材に「新しい光が出てきたのはとてもうれしい」と語った。
東大に在籍する留学生は年々増加傾向で、今年は5月1日時点で4282人(100カ国・地域)。ただ、コロナ禍を受けて外国人の新規入国が原則として停止されていたため、このうち1千人以上(秋入学者の見込み数を含む)は実際にはまだ入国していない。東大のオンライン授業を自国で受けながら渡航の時を待っているという。
林副学長によると、この全員が今回の緩和策を受けて来日することになっても、対応できるように準備しているという。
これまで、入国制限によって来日できない留学生が多くいる一方、日本国籍を持つ人は隔離期間などはあるものの原則として入国が可能な状態が続いていた。「日本国籍を持っている人は入国OK、そうでない人はアンウェルカム(歓迎しない)というような国籍で線引きする対応は、海外の人の心象を悪くする」と林副学長。「日本に魅力を感じてくださる人にウェルカムなメッセージを出し、そうでない人には日本へ行ってみるのもいいかもと思ってもらえるようにしたい」
多くの留学生を受け入れることのメリットを、林副学長はこう語る。「違う発想の人たちが集まることでいろんなプロジェクトが始まる。キャンパスが圧倒的に活性化する」
東大の大学院では約3割が留学生で、「日本人と留学生がともに学ぶ環境が当たり前になってきている」。だが、コロナ禍で留学生が減ってしまったことで、海外の人とネットワークを作り、共同研究を進める機会も失われかねないと懸念していた。「日本人学生にとっても大切な機会を失うことになる」
林副学長は「大学の教育や研究は将来の国力に関わる。国はきちんとプランを作り、大きな方針と具体的な予定を示して」と求めた。(上野創)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル