東京大学は1日、今後6年間の「基本方針」を発表した。自主財源確保のため1千億円程度の基金を創設する計画や、現在23・8%にとどまっている学生の女性比率を2026年度末までに30%に引き上げるとの目標などを盛り込んだ。
東大は総長が交代するたびに、新総長の6年の任期中に取り組む主な事項を示してきた。今回の基本方針は、4月に就任した藤井輝夫総長がまとめた。
1千億円の基金は、寄付や産学連携を通じて得た収入などを今後10~15年かけて積み上げ、運用益で国内外の著名な研究者を招聘(しょうへい)することなどを目指す。国からの補助金の大幅な増加が見込めないなか、大学の判断で自由に使える独自財源を増やすことを目指す。
ただ、基金の実現には、使途が決まっていないお金を国立大が長期間ストックできない国の制度の見直しが必要になる。1日の発表会見で藤井総長は、文科省と交渉中だとした。
基本方針には、学生や教員の起業などを支援するため、新たに600億円規模の基金を作る計画も盛り込んだ。東大が100億円程度を出資したうえで、外部からの出資も募るという。
女性比率については具体的な目標を示した。東大は9年前、「20年までに女子学生比率を30%に引き上げる」との目標を示したが、現状は学部生19・5%、大学院生28・2%で全体としては23・8%。今春の学部入試の合格者は過去最高の21%になったものの、藤井総長は「30%は相当がんばらないと達成できないレベル。大学全体として目標をしっかり共有し、東大を目指す生徒たちに姿勢を理解してもらうことが大事だ」と述べた。現在18%の女性教員比率も25%に引き上げるとした。(編集委員・増谷文生)
東大が基本方針で示した主な目標
・1千億円規模の基金を10~15年かけて創設(国の制度改正が必要)
・学生や教員の起業などを支援する600億円規模の基金を10年かけて創設
・現在23・8%の女子学生の比率を26年度末までに30%に上げる
・現在18%の女性教員比率を26年度末までに25%に上げる。新たに採用する研究者の30%以上を女性にする
・短期留学に送り出す学生を19年度の1・5倍の3千人に、受け入れる学生を同2倍の2千人に増やす
・東大の二酸化炭素の実質排出量を30年度に06年度の半分に減らす
・20年に1千人だった40歳未満の無期雇用教員数を、中長期的に1200人以上に増やす
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル