東大教授「虚偽記載ではない」 日産ゴーン被告事件

三浦淳

 日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(67)が巨額の役員報酬を開示しなかったとされる事件で、金融商品取引法違反罪の共犯に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)の公判が22日、東京地裁であった。弁護側証人の田中亘・東大教授が出廷し、検察側が主張する「未払い報酬」の非開示は、刑事罰が科せる「虚偽記載」ではなく、行政処分の対象となる「不記載にとどまる」と証言した。

 検察側は、2010~17年度のゴーン元会長の報酬が計約170億円だったのに、実際に支払った計約79億円のみを有価証券報告書に記載し、退任後に後払いすることにした約91億円を記載しなかったと主張している。これまでの公判で、検察側証人の証券取引等監視委員会の担当課長は、役員報酬の個別開示を義務づけた内閣府令の解釈について、「既払いか未払いかを問わず、記載すべきだ」と主張していた。

行政処分の不記載にとどまる」

 これに対し、会社法などが専門の田中教授は「未払い報酬も開示すべき」とした上で、日産が有報に「取締役らに『支払われた』報酬は以下の通り」と記している点に着目。「文言を素直に読めば、一般投資家は現に支払われた報酬が記載されていると考える」とし、「記載すべき事項を記載していなかったことにとどまり、真実に反することを書いた虚偽記載ではない」との見解を示した。

 さらに「投資家が開示ルールの全てを知っている前提で虚偽記載罪を解釈することはできない」とも指摘した。(三浦淳)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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