東京大学は11日、次期総長の選考過程を調べた第三者委員会の検証報告書を公表した。総長選考で多くの教員から批判が出る事態になったことを受け、東大が検証を委ねていた。第三者委は選考過程の一部について問題を指摘したが、選考は正しかったと結論づけ、やり直しは求めなかった。五神(ごのかみ)真総長は会見で、大学のガバナンスへの社会的信頼を損ねたとして「深く反省している」と陳謝した。
第三者委は元最高裁判事の泉徳治弁護士を委員長とし、5人の弁護士で構成。10月半ばから関係者へのヒアリングなどを通じて、選考過程を調べた。経済人や大学幹部らでつくる総長選考会議が10月2日、来春からの次期総長に藤井輝夫副学長を選んだが、この結果について「正当に成立し、全く問題のないもの」とお墨付きを与えた。
今回の選考では、1次候補10人が2次候補3人に絞り込まれた経緯が問われた。学内の投票で上位だった候補が外される一方、藤井氏を含む工学部系の2人が残ったため、選考会議議長を務めた工学部出身の小宮山宏元総長が誘導したとの疑念が生じていた。小宮山氏の議事運営に関し、第三者委は「やや疑問を呈さざるを得ない」と言及したが、選定を無効にするほどのものではないと報告した。
選考後には選考会議の録音データの消去が発覚したが、第三者委は専門業者に依頼して復元し、この録音データも検証作業に使った。(土屋亮)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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