東芝の主要子会社から退職させる目的で、いわゆる「追い出し部屋」に配属されたとして、男性社員(53)が子会社に配属の無効などを求めた訴訟で、男性社員と弁護団が1日、訴えを取り下げたことを明らかにした。担当していたIT業務に復帰でき、訴訟の目的を達成したとしている。
東芝エネルギーシステムズ(ESS、川崎市)を相手取り、横浜地裁川崎支部に提訴していたのは小里正義さん。川崎市内であった記者会見で「戻れてよかった。(同じような立場の人がいれば)負けないでほしい」と話した。
訴状などによると、小里さんは1992年に東芝に入社。主に発電所関連のシステム開発畑を歩み、分社化に伴って2017年にESSに移った。18年に東芝の再建計画が発表され、翌年から小里さんは当時の上司らから3回、希望退職に応じるよう促された。
拒み続ける小里さんをESS側は19年4月、総務部に新設された「業務センター」に異動させた。小里さんは物流会社に出向するなどし、他社製品の箱詰めや清掃をさせられたという。
裁判でESS側は業務センターについて「追い出し部屋であろうはずもない」とし、原告側の主張する退職強要や人事権の乱用を否定していた。21年6月に同センターが廃止され、翌7月に小里さんは「実習」としてIT業務に復帰。同年12月、ESS側が小里さんをIT担当部署に本配属することを裁判所に提示し、小里さんは訴えを取り下げ、今月1日付で東芝本体の所属となり、ESSには出向となった。
ESS側は訴えの取り下げを受け、「会社としては訴訟を提起されていた立場であり、今回原告側から訴訟の全面的取り下げがあったことから、これを受け入れたものである」とコメントした。業務センターへの異動については「再配置先が決まるまでの一時的な措置だった。廃止の決定とIT業務への復帰は、訴訟とは関係がない」と取材に説明していた。(佐藤英法、内藤尚志)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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