2011年の東京電力福島第一原発事故をめぐり、津波対策を怠ったとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人に対する控訴審の第3回公判が6日、東京高裁(細田啓介裁判長)であった。検察官役の指定弁護士は3人を無罪とした一審・東京地裁判決の破棄を求め、弁護側は改めて無罪を主張して結審した。判決は12月から来年1月ごろになる見通し。
起訴されているのは勝俣恒久・元会長(82)、武黒一郎・元副社長(76)、武藤栄・元副社長(71)の3被告。争点は一審に続き、3人が巨大津波の発生を予見できたかと、その上で事故の防止策がとれたかだ。
指定弁護士「一審判決は誤り」
19年の地裁判決は、国が02年に公表した地震予測「長期評価」の信頼性を否定し、「原発を停止するほどの予見可能性はなかった」と判断した。
この日、指定弁護士は、事故の賠償責任を問う民事裁判で長期評価の信頼性が認められた例を挙げ、一審判決は誤りだと訴えた。「信頼性が認められれば一審判決の正当性は根底から覆る」と述べた。
一方の弁護側は、刑事裁判と民事裁判の事実認定のあり方は違うとして「一審判決が誤りだとする根拠にはならない」と反論した。
今回の刑事裁判に被害者として参加する遺族らの代理人によると、高裁は結審後、判決期日を12月から来年1月ごろに指定すると説明したという。(村上友里)
記事後半では、控訴審判決の注目点を解説します。
■高裁、原発事故どうとらえる…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル