松江市は10日深夜、新たに3人の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。クラスターが発生した立正大淞南高校(松江市大庭町)の生徒2人と、すでに感染が確認されている生徒の同居人1人。重症者はいないという。同校の生徒、教職員の感染者は計91人になった。
松江市は厚生労働省のクラスター対策班の派遣を要請し、感染拡大の原因を調べる。県内の感染者は計126人。
市によると、新たに感染が確認された生徒はサッカー部と野球部の部員各1人。サッカー部員は9日のPCR検査では陰性だったが、37度台の発熱があり、10日の再検査で陽性を確認した。同校の生徒309人と教職員38人のうち、県外に帰省している生徒17人を除く計330人分の検体を採取し検査を進めている。まだ生徒96人の検査結果が出ていない。
サッカー部を中心にクラスター(感染者集団)が発生した立正大淞南高校が11日未明、松江市役所で記者会見した。北村直樹校長は「大きな集団感染になったことをおわび申し上げる。生徒に落ち度はなく、学校の感染対策の不備に起因する」と陳謝した。
同校では10日までに、生徒89人の感染が確認されているが、そのうち82人はサッカー部の同じ寮に住む生徒だ。この寮には約120人が入居しており約3分の2の生徒に感染が広まった。
同校の説明によると、寮内では共同風呂で食堂も1カ所。県内で感染者が確認された4月以降、可能な限り分散して利用することや換気の実施、食事中の対面を避けることなどの感染対策を指導したが、上川慎二教頭は会見で「(風呂・食堂の)具体的な人数制限はしていなかった」とした。
また、7月23日~8月7日にかけて実施した大阪、鳥取、香川への県外遠征では、マイクロバスで移動し、不特定多数が利用するサービスエリアでは降車しなかったという。20~25人ほどの部員が参加しており、大阪では宿泊し、鳥取、香川は日帰りだった。遠征後は、部員の検温結果を1週間記録していたという。上川教頭は「検証を重ねて、何とか大丈夫と判断した」と説明する。
また、感染が確認された部員のうち、計19人が6日に発熱や頭痛などの症状が出ていたが、校医から保健所に連絡が入ったのは、初めて感染が確認された生徒が5日の発熱後に、味覚・嗅覚(きゅうかく)異常を訴えた7日。上川教頭は「感覚的には体調不良が多いと認識していたが、19人もいるとは6日時点で把握していなかった。熱中症の可能性もあり判断が難しかった」と説明した。(浪間新太、長田豊)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル