衆院の任期満了まで1年余りとなり、次期衆院選山口3区で自民党の林芳正元文部科学相(59)が参院からくら替えするのではないかとの臆測が地元で飛び交っている。3区の現職は同党の河村建夫元官房長官(77)だが、林氏は過去にも衆院転出に動いただけに、河村氏側は派閥を挙げて警戒感をあらわにする。両者はお膝元の地方選でも代理戦争を繰り広げ、対立はヒートアップする。
■反党行為で除名処分辞さず
「『売られたけんか』という言葉がある。河村先生に何かあれば政治行動の全てをなげうち(林氏の)挑戦を受けて立つ」。4日、河村氏が次期衆院選に向け宇部市で開いた総決起大会。所属する二階派トップの二階俊博幹事長は会場の約400人を前に語気を強めた。 壇上には二階派の国会議員の半数近い20人がそろい、3区の党公認は河村氏だと念押しせんばかりに気勢を上げた。「きょうは党幹事長としても来た」と二階氏。林氏が打って出た場合は反党行為で除名処分も辞さない考えを示した。
発端は林氏が3区へくら替えする意向を固めたと報じた9月16日深夜のテレビニュース。これを受け二階氏は河村氏に「やれよ」と総決起大会の開催を促し、派閥議員に宇部行きを号令。終了後、二階派議員の一人は「あれだけ言えば林氏はもう出られないだろう」と笑みを浮かべた。 河村陣営をこれほど神経質にさせるのは、県内で将来の首相候補と期待される林氏が過去に2度、衆院くら替えを模索したことがあるからだ。 党山口県連によると、1度目は旧民主党から政権を奪還した2012年。林氏の意向をくんだ県連幹部が3区の公認候補とするよう党本部に推薦したが、はじかれた。17年には林氏の支援者が県連経由で公認申請を上げたが、党本部は現職の河村氏を優先した。
■「次のステージを目指す」
林氏はその後も「首相として解散権を行使するには同じ衆院の立場であるべきだ」との持論を展開。今回の報道については「意向を固めた事実はない」と涼しげに否定する一方、9月21日に宇部市で報道陣の取材に応じた際は「支援者の期待に応えられるよう精進を重ねる」とくら替えへの意欲を隠さなかった。 両者の対立は地元の地方選にも波及。4月の美祢市長選では河村氏が応援する現職が林氏の推す新人に敗れた。林氏は告示前から秘書を送り込む力の入れよう。河村氏も電話作戦で巻き返しを図ったが、及ばなかった。来年3月の萩市長選には河村氏の実弟田中文夫県議が立候補を表明。林氏の地元後援会の後押しで初当選した現職の藤道健二市長への批判を強める。 林氏はことしに入り、萩市中心部に近い場所へ事務所を移転。山陽小野田市の2カ所に後援会事務所を新たに設けた。新調したリーフレットには「参院5期25年の実績を生かし、次のステージを目指す」と意味深なメッセージを記す。美祢市で敗れた河村氏も9月、同市中心部に事務所を構え臨戦態勢を強めている。 二階幹事長のけん制に対し林派のベテラン県議は「古くさい威圧政治。こちらはネクスト安倍の大義名分で世代交代を進める」と息巻く。一方、河村派で山陽小野田市議会の小野泰議長は「参院でも首相になれる。地方がもめないよう党本部は調整を」と求める。 3区ではほかに野党共闘で立憲民主党の坂本史子氏(65)が立候補を予定する。
中国新聞社
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment