大型で非常に強い台風19号が12日から13日にかけて東日本を直撃し、栃木県佐野市でも大きな爪痕を残した。12日午後9時20分頃には東武佐野線の佐野市駅から南西に約500メートル離れた同市赤坂町で秋山川の堤防が決壊、濁流が住宅街と数十台の車が水没した。
近くの住民は、「突然、水が押し寄せてきて1階部分が水浸しになった。車も水没して動かなくなった。どうすればよいのか不安だ」と片づけを急いだ。決壊場所を土のうやコンクリートブロックなどでふさぐ作業が朝から続いた。
市内のいたるところで決壊や越水があり、幹線道にあるアンダーパスが水没するなど交通網もまひしている。市の中心に近い大橋町でも大きな被害が出ており、自宅が床下浸水に遭った柏崎英夫さん(65)は「盛土をしたから自宅の被害はそれほどではなかったが、庭の土がほとんど流されてヘドロのようになった」と重機を使い、道に流された土を移動していた。別の住民は「50センチ以上の高さまで水がきた」とし、「100年以上前からここに住んでいますが、川があふれたという話は聞いたことない」と話した。
12日夜、避難所だった私立中学の校庭が浸水し、車が数十台水没した。被害にあった避難者は「当初、体育館に避難していたが、途中で校舎の3階に移動した。校舎は水没しなかったが避難所としてどうなのか」と疑問を投げ掛けた。
市では700軒近くが床上浸水し、約500軒が床下浸水する被害が出ている。佐野市消防本部によると、ヘリやボートなどで201人を救出したが、複数名が救助を待っている状態だという。【上岡豊】
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