サドルとペダルが2組ずつある2人乗りの自転車「タンデム自転車」の公道走行が今月、栃木県で解禁された。健常者が前に乗ることで、視覚障害者でも楽しめる自転車として公道走行を望む声が出ていた。取り扱う店舗が限られ普及が進んでいないなど課題もあるタンデム自転車だが、視覚障害者の行動範囲が広がると期待が集まっている。
タンデム自転車は、車体の前後にサドルとペダルが2組ずつあり、前に乗る人のみがハンドルを操作できる。このため、後ろであれば視覚障害者でも乗ることができるとして注目を集め、パラリンピックの自転車競技にも用いられている。ただ、通常の自転車よりスピードが出やすくハンドル操作も難しいとされ、県内では一部の公園などを除いて走行が禁止されていた。
一方、全国的には近年、公道走行解禁の動きが活発化。県内でも視覚障害者団体などから公道走行を望む声があったほか、先行して解禁した近隣県で交通事故が発生していないことから、県警が解禁にかじを切った。県公安委員会が県道交法施行細則を一部改正して今月から公道走行が実現。現在、本県を含め27府県で公道走行が可能という。
県警は解禁日の今月1日に、宇都宮市内でタンデム自転車の体験講習会を開催。参加者からは「楽しかった」「風を直に感じることができてよかった」などの声が上がったという。
今後の課題は取り扱う店舗が限られているタンデム自転車の普及だ。ただ、解禁を受けて販売や貸し出しの検討を始める動きもあり、今後の動向が注目される。
交通ルールの周知も必要になる。タンデム自転車は道交法上「軽車両」に該当するため、普通の自転車なら可能な歩道走行ができない。ほかにも進入禁止の箇所がある。また、発進や停止、右左折時には2人で意思疎通を図らなければならない。県警交通企画課は「公道に出る前に安全な場所で練習し、2人で声を掛け合って楽しんでほしい」と話している。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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