証券取引等監視委員会は11日、顧客に根拠なく株購入の助言などをした金融商品取引法違反の疑いで、福岡市内の投資助言代理業2社に対し、行政処分を行うよう金融庁に勧告した。2社を実質的に支配していた別会社の男性経営者や2社の関係者は事前に株を買い、助言で株価を上昇させた後に売り抜け約2千万円の利益を得ていた。同様の事例での勧告は全国初という。
勧告対象は、ディーティーシーとトラフィックトレードの2社。2015年10月~19年9月、2社は男性経営者から助言を行うよう指示を受け、メールや会員制交流サイト(SNS)で計7銘柄の株購入を根拠なく勧めるなどした疑い。指示を受けてから5~10分程度で購入を推奨することもあったという。2社の役職員の大半は男性経営者の会社で働いた経験があり「指示に従い、違法行為をしながら運営することに違和感を持っていなかった」(財務省担当者)という。
金融商品取引法は、顧客の売買で価格を変動させ、第三者などに利益を図る目的で根拠のない助言をすることを禁じている。今後、2社は登録取り消し処分となる可能性がある。
2社の顧客は昨年9月時点で546人に上る。月額1万2千円から3カ月40万円で助言を行っていた。2社は勧告を受け、ホームページ上で全サービスをいったん停止すると発表した。 (具志堅聡、井崎圭)
【ワードBOX】投資助言代理業
経済情勢や企業の事業内容、相場から有価証券や金融商品の価値を分析して、顧客の投資家に投資の助言などを行う。国への登録が必要で、全国に約千社ある。投資家との契約に基づき月額報酬や成功報酬などで対価をもらう。最終的な投資の判断は投資家自身が行うため、助言を受けて購入した株が値下がりしても自己責任とされる。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース