北海道寿都(すっつ)町が、原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の国の選定に応募を検討している問題で、鈴木直道・道知事と片岡春雄町長が3日、問題の表面化後、初めて会談した。鈴木知事は、核のごみの道内への持ち込みを「受け入れがたい」とした道条例の順守を要請。片岡町長は、20年かかる選定プロセスの最終段階まで進めたいとの持論を述べ、議論は平行線に終わった。
最終処分場の選定は3段階ある。鈴木知事は会談で、論文などをもとに調べる第1段階「文献調査」(約2年)への応募には近隣自治体などへの丁寧な説明が必要だと訴えた。さらに、ボーリング調査を伴う第2段階「概要調査」(約4年)へ進むときに必要な知事への意見聴取では反対する考えを改めて示した。根拠として、核のごみの道内への持ち込みを「慎重に対処すべきであり、受け入れがたい」とした道条例を挙げた。
これに対し片岡町長は「日本は核のごみに関してあまりにも無責任だ。一石を投じる」とし、第3段階の「精密調査」(約14年)まで見据え、若い世代や全国での議論を喚起したい考えを示した。
会談は寿都町役場で約50分にわたって行われ、報道陣に公開された。同町は7~15日、町内7会場で住民説明会を開き、町民に対し応募への理解を求める。ただ、応募への賛否は問わずアンケートもしない。片岡町長は10月以降にも最終判断をする考えとみられる。(伊沢健司、斎藤徹、佐久間泰雄)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル