三宅梨紗子、福冨旅史 岡田将平
核兵器を全面的に禁じた核兵器禁止条約の発効から22日で1年たった。条約の批准国・地域は59まで増えたが、核保有国やその「核の傘」に頼る日本などは背を向けたままだ。国際NGOは世界の都市に対し、自国政府に核兵器禁止条約参加を促してもらう運動を展開し、核保有国でも賛同が広がっている。
ニューヨークが賛同「核被害者と連帯、特別な責任」
米国最大の都市ニューヨークの市議会は昨年12月、米政府に核禁条約への支持と参加を求める決議を賛成多数で可決した。
決議はニューヨークが、第2次世界大戦時、原爆が開発された「マンハッタン計画」が始まった場所であると言及し、「核兵器の使用や実験などによる全ての被害者との連帯を表す特別な責任がある」とうたう。
「1945年に広島、長崎に投下された原爆が20万人以上を殺害した後も、数十万人が核兵器の実験による放射能にさらされきた。被爆者や核実験の影響を受けた人々の苦しみは受け入れられない」と指摘し、「いかなる状況でも核兵器が二度と使われないことを保障する唯一の方法は核廃絶だ」と強調した。
そしてニューヨークを「非核地帯」と確認することや市の会計検査官に対し、市の公務員の年金基金を核兵器関連企業から分離することなども求めている。
決議を後押ししたのが、核禁条約制定の動きを先導し、2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が18年から展開してきた「シティーズ(都市)・アピール」だ。
核兵器が使われれば被害を受ける恐れが強い都市から、条約への参加を自国政府に求めてもらう。ICANによると、今月20日現在、19カ国524都市がアピールに賛同した。米ワシントンやロサンゼルスのほか、広島、長崎両市、パリなどが名を連ねる。
米国内の人口3万人以上の1…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル