自民党の河井案里(あんり)参院議員(46)が初当選した昨年7月の参院選で車上運動員に違法な報酬を支払ったとして、公選法違反(買収)の罪に問われた案里氏の公設秘書、立道浩被告(54)の第2回公判が19日、広島地裁(冨田敦史裁判長)で開かれた。立道被告は「違法報酬を支払ったのは事実です」と起訴内容を認めた。一方で弁護側は「被告は報酬金額の決定に関与しておらず、幇助(ほうじょ)犯に過ぎない」と主張した。
立道被告はこの日の罪状認否で、車上運動員の報酬が法定上限の2倍の日当3万円だったことについて「多くの選挙で支払われている常識的な金額だと聞いていた」とも説明。弁護側は被告の役割を「事務所の方針で報酬額が3万円と知って(車上運動員と)連絡を取り合うなどし、報酬額を会計担当者に伝えたことに尽きる」と強調した。
また、弁護側の被告人質問で、立道被告は報酬が決まった経緯を問われ、「(陣営の)事務長に相談し、(すでに報酬が決まっていた)もう一つのグループと一緒でいいかと聞き、『それで』と返答があった」と述べた。検察側は初公判の冒頭陳述で「(立道被告が)事務長に3万円でいいんじゃないかと伝えた」と指摘しており、食い違いを見せた。
案里氏の陣営は夫で前法相、克行衆院議員(57)が取り仕切っていたとされるが、この日の公判では報酬額の決定に夫妻が関与したかどうかは言及がなかった。次回公判は26日で、被告人質問の続きが行われる予定。
■罰金刑なら連座制回避も
公選法違反の罪に問われた河井案里参院議員の公設秘書、立道浩被告は、起訴内容を認めながらも違法報酬の決定に関与していないなどとし、従属的な立場だったと主張した。関係者によると、弁護側は今後の公判で、案里氏の連座制が適用できない罰金刑の判決を求める方針という。
広島地検は立道被告に関し、連座制が適用される「組織的選挙運動管理者」と判断。禁錮以上の刑が確定すれば、案里氏の当選が無効となり失職する可能性がある。ただ、禁錮刑よりも軽い罰金刑であれば連座制は適用されない。
立道被告は弁護側の被告人質問で、車上運動員への報酬の違法性を認識していたことを認めた。しかし、弁護側から「事務所の方針で(違法報酬は)仕方がなかったのか」と問われると「はい」と答え、あくまで従属的な立場にすぎなかったことをアピールした。
また、案里氏の遊説ルートを記した「行程表」を自らが作成したことについても、「車上運動員のリーダーが作ったシフト表と河井夫妻の希望を反映させていただけだ」とし、陣営内で自らの権限がほとんどなかったことを訴えた。
公選法に詳しい弁護士は「立道被告はあまり権限を持っていなかったのかもしれないが、違法報酬を支払った実行行為者であることは重く見られる可能性が高い」と指摘。「案里氏の連座制を回避するのは難しいのではないか」と述べている。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース