案里議員初の被告人質問(1)現金渡した県議らに「感謝しています」 (産経新聞)

 《昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公選法違反の罪に問われた参院議員、河井案里被告(47)の公判が13日、東京地裁(高橋康明裁判長)で開かれ、弁護側による案里被告の被告人質問が行われた。事件について自ら説明するのは、8月25日の初公判以来。案里被告は前回の公判に続いて黒いジャケットの左胸に議員バッジをつけ、ロングスカート姿で証言台に座った》  弁護人「参院選広島選挙区のことなどについて質問する。広島県政の状況なども。県議会の構成は」  《弁護人は案里被告が当選した昨年の参院選について、その前提となった広島県内の政治状況から確認していく。案里被告は弁護人の方に顔を向けながら質問を聞き、落ち着いたトーンで説明を始めた》  案里被告「平成15年に(県議選に)初当選した際、議長選をめぐって自民党が分裂しました。(案里被告が所属していた)自民会から抜けた先生が、民主会派・公明会派と一緒になって知事与党を形成しました」  弁護人「知事与党とは県議会では会派が分かれた」  案里被告「知事与党と、それ以外の自民会派、共産会派でした」  《弁護人は「これから案里さんと呼ばせていただきます」と断り、以降は案里被告に「案里さん」と呼びかけながら質問を進める。案里被告は答えに詰まることなく、自民党県連の分裂状況や、平成21年の県知事選に立候補した経緯について話していった》  弁護人「(所属していた自民会は)県連でも県議会でも少数派か」  案里被告「はい」  弁護人「案里さんが県知事選に立候補したのは、どういったいきさつか」  案里被告「自民党の分裂が尾を引いており、(候補を)一本化できてませんでした」  弁護人「県知事選の状況は」  案里被告「分裂のまま突入しました。本来、自民党を挙げて1人を推すべきところでしたができませんでした」  《話題は県知事選での敗北から、県議として復帰した際の苦労話へと向かう》  弁護人「現知事の湯崎(英彦)氏に敗れ、結果をどのように受け止めた」  案里被告「最終的には敗れましたが、9日の短い期間で20万票をいただいた」  弁護人「湯崎氏は」  案里被告「40万票です」  弁護人「ダブルスコアで大差だと思うが」  案里被告「一部の自民の先生の応援だけで20万票いただき、自信になりました」  弁護人「知事選に敗れた後、県議として復帰しているが、浪人期間があった」  案里被告「2年弱くらいです」  弁護人「多数派に逆らって県知事選に出て負けた。『何だあいつ』と苦労があったと推察するが」  案里被告「県議会では厳しい立場になり、議会の発言でも必ずヤジが飛んできました。委員会でも、与党の先生が否定する意見を覆いかぶさるように言われた。県職員からも、『あなたが言ったんじゃ何も通らないですよ』と。つまはじきの状態でした」  《浪人時代の苦労も感情を高ぶらせることなく淡々と答え、現金を渡した県議らへの感謝の言葉を語り始めた》  弁護人「会派としてはどうした」  案里被告「復帰するときに知事に反対する旗頭の色がついていた。応援してくれた先生に迷惑をかけたくなかったが、自民会が門戸を開いてくれた」  弁護人「どんな方?」  案里被告「このたび私が現金を供与した奥原(信也)先生、岡崎(哲夫)先生、下原(康充)先生、平本(徹)先生です」  弁護人「どういう思いだった」  案里被告「反知事の急先鋒(せんぽう)とみられていた私を入れるのは勇気がいること。温かく迎え入れてくれたことに感謝しています」  《弁護人は参院選への出馬の経緯と、県連と自民党本部の対立について尋ねる》  弁護人「広島県連と党本部の考え方には隔たりがあった。どのような違いか」  案里被告「党本部は党勢拡大を第一に考える。議席をより多く取ること。本部から見て、広島は公認候補1人だが得票数が野党の2~3倍あり、2人立てて2議席取れると判断したのでは。昨年の参院選だけでなく、前回と前々回でも2人立てたいと模索していたということでございます」  弁護人「県連の考え方は」  案里被告「県連を構成する県議は民主系と一緒に議会を運営しており、民主や連合と戦いたくない。今までのように、1議席ずつ自民・民主で分け合うことを望んでいたと思っています」  《案里被告は県議だった平成30年秋、自民党の二階俊博幹事長から参院選の出馬を打診された》  案里被告「県政が慣れ合いのようになっていると感じ、もうこれは引退しようと思っていました。だいぶ迷ったが、県議時代にやらなくてはならないと思っていたことを実現するために、国政に挑戦してみてもいいかと思いました」  《出馬の決意の背景には、夫の克行被告(57)の後押しもあった》  案里被告「主人は私の政治家としての素質が分かる。『あんたは政治の子、政治を続けなきゃだめ。国政のチャンスがあればぜひ出なさい』と言いました」  《案里被告は党本部の推薦を受けたものの、自民党県連の推薦は受けられなかった。地元の協力を得られず不利な状況ではあったが、本人は悲観的には捉えていなかったようだ》  案里被告「地方議員は、ハコモノの集会で動員をかけるなど、選挙を派手に見栄えをよくしてくれます。だが得票にはつながらない。(結局は)候補者の考え、人間性次第」  《案里被告は、参院選に臨むにあたり地元有力者の力を借りず、有権者に直接訴えていく姿勢だったと説明を続ける》  案里被告「徹底した草の根活動で戦おうと思いました。自民党の重鎮にも『とにかくのぼりを持って、人を増やせばいいんだよ』と言われました」  「参院選の公示前の1日のスケジュールは、5時に起床して、6時前には家を出て、交通量の多い広島市内で朝の街頭演説をしました。8時ごろまで車から手を振って、事務所に戻ってパンをパクパクと。大きなスピーカーに手持ちのマイクというスタイルで、人通りに多い交差点をつぶしていました。昼ご飯は車の中でおにぎり。19時ごろまで街頭演説をして夜は集会に出て政策を訴え、21時ごろに帰宅しました」  《案里被告ははっきりとした口調で、弁護人の質問にすらすらと答えていった》

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

Japonologie:
Leave a Comment