森下裕介
森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ、自死した同省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻・雅子さん(50)が国に損害賠償を求めた訴訟は15日、国側が雅子さん側の請求を受け入れ、終結した。
国を相手取った訴訟が終結し、今後はどうなるのか。国は今回の訴訟終結で、雅子さん側が求める「真相解明」への道を狭めた形だが、雅子さん側は提訴した別の訴訟を通じ、財務省幹部らの証人尋問などを求めていく構えだ。
佐川氏との訴訟は継続、10月に文書開示求める訴訟も
雅子さんは今回の訴訟で、国だけでなく財務省の佐川宣寿・元理財局長も相手取って提訴した。佐川氏の改ざんの指示によって俊夫さんが自死に追いやられたという主張だ。佐川氏を相手とした訴訟は続き、この中で改ざんの実態を知る人物を証人として法廷に呼ぶことができれば、新たな事実が明らかになる可能性がある。
だが、国家公務員が職務の中で損害を与えた場合に、公務員個人ではなく国が賠償責任を負う、とした最高裁の判例がある。佐川氏は15日付で大阪地裁に提出した書面で、この判例を踏まえて雅子さん側の請求は棄却されるべきだと主張した。佐川氏個人に対する訴訟で、裁判所が実質的な審理を認めるかどうかが注目される。
また雅子さんは、公文書改ざんを捜査した大阪地検に財務省が任意提出した文書などについて、雅子さんの請求に対し同省が不開示としたのは不当だとして、不開示決定の取り消しを国に求める訴訟を今年10月に起こしている。
この訴訟で文書が一部でも開示されることになれば、新たな事実が明らかになる可能性がある。代理人を務める生越照幸弁護士は15日の会見で、「できるだけ情報を引っ張り出し、何があったのか、実態解明を続ける」と話した。(森下裕介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル