森友問題、全員不起訴なぜ 検察「刑事罰の適用に限界」

 森友学園への国有地売却や財務省関連文書の改ざんなどをめぐる問題で、当時の財務省幹部ら10人は再び不起訴となった。大阪地検特捜部の再捜査で浮かび上がったのは、確実な有罪判決を求める検察の捜査と、問題を追及してきた市民感覚とのずれだ。一連の問題は大きな謎を残したまま、捜査を終えた。

 「検察審査会の指摘をふまえ、必要かつ十分な捜査をしたが、いずれについても起訴するに足りる証拠を収集することができなかった」

 9日午後4時、大阪地検が入る大阪中之島合同庁舎(大阪市福島区)16階の特捜部長室。小橋常和部長は集まった報道陣に撮影や録音を禁じたうえで、不起訴にしたことと、その理由を短く語った。その後、各社の記者と個別に面会する時間を設けた。詳しい理由を尋ねる朝日新聞の記者の取材に、「お答えを差し控えたい」と繰り返した。

 大阪第一検察審査会による「不起訴不当」議決から4カ月余り。特捜部は神戸や京都などの他地検から応援検事を臨時に集めて15人ほどの捜査チームを組み、再捜査に臨んだ。だが、11人の審査員が示した「民意」と、特捜部の認識の溝は埋まらなかった。

 再捜査の対象は、①財務省近畿財務局がごみの撤去費用8億円余りを値引いて国有地を森友学園に売却し、故意に国に損害を与えたとする背任容疑②決裁文書を改ざんした有印公文書変造・同行使容疑③財務局が学園側との交渉記録などを廃棄したとする公用文書毀棄(きき)容疑――の三つだ。

 ①について、検審の議決は高額…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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