学校法人森友学園(大阪市)を巡る財務省の公文書改ざん問題で、自死して公務災害を認定された同省近畿財務局(近財)職員赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(49)が9日、記者会見し、国側から開示された公務災害の報告書について、「夫が改ざんを苦にしていたのは間違いない。夫の死について国はうそを書いている」と語った。
7日付で国から開示された文書は、公務災害認定の理由を記した「災害認定報告書」など。赤木さんについて、「上級官庁との連絡調整」「マスコミ報道などで精神面や肉体面に過剰な負荷が継続した」などの記載はあるが、同省による改ざんの指示や赤木さんの関与について具体的な記述はなかったことが判明している。
雅子さんとともに会見した弁護団の松丸正弁護士は「改ざんの事実を隠蔽(いんぺい)したうえで、公務災害を認定しようとしたとしか思えない」と改めて批判した。
この日は、赤木さんに改ざんを指示したなどとして雅子さんが国などを相手取り損害賠償を求める訴訟で今後の裁判の進行内容を協議する日だった。
弁護団は会見で、赤木さんが受けた心理的な重圧や恐怖感を裏付けるためには、開示された報告書の内容では不十分だと指摘。そのうえで近財職員への聞き取り調査の内容や、赤木さんが改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」を国側に提出させる必要があるとして、来年2月までに裁判所に文書提出命令を申し立てる方針を明らかにした。
朝日新聞は財務省広報室に対し、報告書で改ざんに触れなかった理由を尋ねた。同室は9日、「個人のプライバシーとともに、訴訟にかかわることでもあるため、お答えを差し控えます」と回答した。(遠藤隆史、米田優人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル