博物館や美術館を見学した後、「何となく落ち着いた」「力がわいた」などと気分の変化を経験した人も多いはず。その「何となく」を科学的に証明しようという研究が日本で進められている。森林浴なみに「博物館浴」と名付けられた癒やし効果に期待が寄せられている。
博物館の癒やし効果を研究するのは、福岡市にある九州産業大学の緒方泉教授(博物館学)。九州・沖縄の博物館・美術館と協力して、2020年度に博物館浴の実証実験を始めた。国の補助を受け、これまで中高生と大学生、博物館関係者の計約300人が参加した。
6月下旬、福岡県の飯塚市歴史資料館で実験が行われ、大学3年生11人と一緒に記者も参加した。実験は血圧計による生理測定と、筆記による心理測定。見学の前後の変化を比べる。
気分はポジティブ 低血圧も正常値近くに
記者と学生は控室でまず血圧と脈拍を測った。続いて配られた調査票には「集中できない」「気がはりつめる」など35項目の感情の動きを表す言葉が並ぶ。それぞれについて、「少しあった」「かなりあった」など自分の心理状態に近い表現を5択で選んだ。
その後、展示室を1人で自由に10分間見学した。かつて炭鉱で栄えた筑豊のまち。明治・大正時代に石炭を採掘する等身大模型が目をひいた。
控室に戻り、見学前と同じ測…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル