緊急事態宣言の期限が31日まで延長され、経済環境の更なる悪化が不可避となる中、安倍晋三首相は4日の会見で、企業向けの持続化給付金を早ければ8日から支給すると明らかにした。また、国民1人あたり一律10万円の特別定額給付金も手続きが開始されたが、これ以外にも政府による給付金、貸付金制度は多々存在する。経済アナリストの森永卓郎さんは「自分がどの支援の対象者となっているかをきちんと知り、素早く申請する必要がある」と、行動を起こすことの重要性を説いた。(高柳 哲人、竹内 夏紀)
安倍首相が会見や国会の答弁の中で「スピード感をもって行う」と繰り返している経済対策。その内容について、森永さんは「先進国の中で“渋チン”と言われているドイツと比較しても、日本の財務省は財布のひもを締めている。特に、休業補償は一切しないという方針を譲らない点は、ケチですね…」と手厳しい。ただ、その中でも雇用調整助成金の要件緩和と助成率の拡充は、評価できる点だという。
雇用調整助成金とは、労働者の失業を防止するために、国が事業者に対して給付する助成金。事業者はこの金を使って、従業員に対し平均賃金の6割以上を休業手当として支払うことが定められている。従来は雇用保険に6か月以上加入している従業員のみが助成の対象だったが、4月1日~6月30日の「緊急対応期間」は、新入社員や短時間労働者を含む全ての従業員が対象となった。
ここで従業員側が注意しなければいけないのは、休業手当の申請先は国や地方自治体ではなく、自分が勤務している事業者という点だ。「事業者は政府からお金(雇用調整助成金)をもらい、その中から雇用者に対して休業補償をする。だから、労働者は自分の会社をせっつかないとダメなんです」。金の「出所」は国だが、森永さんによると直接支払うのは事業者であることを知らず「どうすればもらえるか分からない」という人も多いという。
一方、フリーランスなどの個人事業主は、1か月の売り上げが前年同月比で半減以上した人を対象に、最大100万円の持続化給付金を受けることが可能。また、子供の世話で個人契約の仕事ができなくなった保護者を対象とした小学校休業等対応支援金(日額4100円)も受けられ、いずれも国に申請する形となる。
これらに限らず、基本的に助成金や貸付金などの支援は、「待っていても始まらない」もの。だからこそ、森永さんは「正しい情報を入手して、素早く申請することが必要です」と強調した。
すったもんだの末に決まった一律10万円の特別定額給付金も、安倍氏は「前回よりも支給時期は早くなる」と自信を見せたが、方法としては、リーマン・ショック後の2009年に麻生政権で実施された定額給付金と同様に地方自治体に申請する形に。森永さんは「早くなるのは、ただ単に自治体が急ぐだけ。結局、役人は『前例踏襲主義』なんですね…」と話した。
申請はマイナンバーカードを持っていればオンラインでも可能だが、ない人は自治体から送られてくる書類に本人確認書類と銀行の口座番号を添えて郵送で行う。期限は受け付け開始から3か月以内となっており、書類が来たら速やかに申請した方がいいだろう。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース