棺の両親、眠っているよう DVDが父の伝言 熊本豪雨

 熊本県南部を中心とした豪雨から、4日で1カ月。両親を亡くした女性は、現場で泥だらけのDVDを見つけた。中身は父親が撮りためた、かつての幸せな「日常」だった。

 今月1日、西村直美さん(51)は北九州市の自宅で数枚のDVDに触れ、涙ぐんだ。熊本県人吉市で暮らしていた父、西橋欽一さん(85)が生前撮影した映像が収められている。欽一さんと妻の恵美子さん(82)の命を奪った、増水した球磨川を記録したものもあった。

 7月4日朝。テレビをつけた直美さんの目に、濁流にのまれた人吉市の映像が飛び込んできた。慌てて実家に電話したが、つながらなかった。

 近所の女性(39)と連絡が取れた。女性は「2人とも避難したみたい」と教えてくれた。ほっとして、力が抜けた。

 水が引いた翌5日朝、もう一度、女性に電話をかけた。「お父さん、見つかった?」。女性は電話をつないだまま、家の様子を見に行ってくれた。

 しばらくすると、女性が言った。「おじちゃんとおばちゃん、おんなさった(いらっしゃった)……」。嫌な予感がし、慌てて電話を切った。すぐに、またかかってきた。「ごめんね。避難したって言って、ごめんね」。2人は居間で折り重なって倒れていた。

泥一つない顔

 直美さんは家族と現地に向かい…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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