川嶋かえ 横山輝
57年前の1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして、強盗殺人罪などで死刑が確定した元従業員・袴田巌さん(87)=釈放=の裁判をやり直す再審公判で、静岡地検は10日、有罪を求める立証方針の概要を明らかにした。証拠捏造(ねつぞう)との指摘を「根拠がない」と否定し、「関係証拠を総合評価し、(袴田)被告が犯人であると立証する」とした。
確定判決は、袴田さん逮捕から約1年後に現場近くのみそ工場のみそタンクから見つかった「5点の衣類」を犯行時の着衣と認めて死刑とした。
再審請求審では、この衣類に付着した血痕に赤みが残っている点が焦点になった。今年3月の東京高裁決定は、弁護側の実験などをもとに「1年もみそに漬かれば赤みは消えて黒褐色に変わる」と認定。衣類は捜査機関が逮捕後に入れた捏造証拠の可能性が「極めて高い」と指摘した。
その上で、無罪を言い渡すべき新証拠として、再審開始を決めた。
みそ漬けの血痕、「赤みは残る」
地検はこの日明らかにした立証方針の中で、赤みを消失させる化学反応の速さは、血液の乾燥の程度やみその酸素濃度などで大きく左右されると反論。弁護側の専門家は「誤った前提に立って結論を導き出した」と批判した。
検察側の実験などを踏まえ、「各分野の専門的知見を正しく評価すれば、血痕に赤みが残ることは何ら不自然ではない」と主張した。
捜査機関による捏造との指摘には「証拠や根拠がない」と強調した。
工場2階に1人で寝泊まり、B型の血痕一致…
地検は、その他の証拠につい…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル