前田智 井石栄司
大阪府富田林市で2022年6月、当時2歳の女児が自宅で熱中症で死亡した事件で、女児を粘着テープで縛ってベビーサークル内に閉じ込めたとして、保護責任者遺棄致死と逮捕監禁の罪に問われた桃田貴徳被告(52)の裁判員裁判が29日、大阪地裁堺支部(藤原美弥子裁判長)であった。検察側は「養育の煩わしさから監禁しており、常習的な虐待の一環で起こるべくして起こった」と述べ、懲役7年を求刑した。弁護側は「被告は女児の保護責任者に当たらない」と無罪を主張し、結審した。判決は12月13日。
亡くなったのは小野優陽(ゆうは)ちゃん。桃田被告は、優陽ちゃんの祖母で内縁関係の小野真由美被告(47)=同罪で起訴=と共謀。22年6月24~27日に3回、計57時間、サークルに優陽ちゃんを閉じ込めたほか、27日夜に優陽ちゃんの手足をテープで縛り、29日までサークル内に十分な水や食事を与えずに放置し、熱中症で死亡させたとされる。両被告は小野被告の五男(7)と27日から大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパンで遊び、2日間外泊した。
検察側は論告で、22年6月22日に両被告が口論した後も内縁関係や家族関係は続き、保護責任者に当たると主張。桃田被告は小野被告と相談し、優陽ちゃんが外に出ないようにするサークルの改造などを行ったとし、「果たした役割は小野被告と大差ない」と訴えた。
弁護側は最終弁論で、桃田被告は22日の口論後に家の鍵を返すなどして内縁関係を解消し、事件当時は養育者でなかったと反論した。優陽ちゃんの世話は同居する小野被告や、小野被告の四男(17)らが担い、桃田被告の関与は薄かったとし、事件当時、被告は優陽ちゃんをサークルに入れたり手足を縛ったりはしていないと主張した。外泊中は、優陽ちゃんが長時間1人にならないよう、小野被告や四男らが連絡し合っていると認識していたともした。
桃田被告は最終陳述で「優陽ちゃんにかわいそうなことをしたと申し訳ない気持ちで、私も含めたみんなの責任だと思っている」と述べた。(前田智、井石栄司)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
【締め切り迫る】紙面ビューアー機能も使えるプレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン中!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment