滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、呼吸器を外して入院患者を殺害したとして、殺人罪で服役した元看護助手の西山美香さん(39)のやり直し裁判(再審)に向けた協議が30日、大津地裁であり、検察側が有罪主張の根拠とする新証拠を出さない方針を示した。協議後、西山さんの弁護団が明らかにした。
弁護団は「新証拠を出さないのは有罪立証をあきらめたようなもので、無罪に近づいた」としている。
西山さんは03年5月に男性患者(当時72)の呼吸器を外し、低酸素状態で殺害したとして殺人容疑で逮捕・起訴された。捜査段階で「呼吸器を外した」と自供したものの、公判では無罪を主張。大津地裁は05年11月に懲役12年の実刑判決を言い渡し、最高裁で判決が確定して服役した。
大阪高裁は17年12月、弁護側が提出した新証拠などを踏まえ、患者が自然死した可能性などを指摘し、再審開始を認める決定を出した。最高裁も今年3月に高裁決定を支持し、再審開始が確定。再審に向けた弁護団と検察、裁判所の協議が続いていた。
協議は非公開。検察側は4月の協議で有罪を主張する方針を示し、患者が呼吸器を外されたことによる低酸素状態で死亡したとする医師の意見書や、西山さんの供述調書などを新たな証拠として出すとしていた。だが検察側はこの日、これらの新証拠を出さないと説明した。ただ、有罪主張を撤回するかは明らかにせず、10月末までに文書で伝えるとした。(比嘉展玖(ひらく))
殺人罪で服役した元看護助手の…
980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル