日本医師会(日医)は、新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者について拡大を受け、医師が必要と判断して実施を求めたにもかかわらず検査が実施されていなかった事例が、4日時点で7つの都道府県医師会から30件ほど集まったことなどを公表した。重症事例ではないことや感染患者との濃厚接触がなかったことなどが理由として挙がっているという。同日の定例記者会見で、現時点での日医の対応や厚生労働省と共有している情報などについて説明し、PCR検査の保険適用のタイミングについては6日以降という連絡を受けたことを明らかにした。【吉木ちひろ】
日医は国との情報共有などを目的として都道府県医師会に対し、医師が求めたにもかかわらず、新型コロナウイルスのPCR検査が実施されていなかった事例の報告を求めている。締め切りは13日。
感染症危機管理対策担当の釜萢敏常任理事によると、初期段階では中国の湖北省や武漢との接点がないことを理由に検査が実施されなかった例があったが、大半は帰国者・接触者相談センターによって症例が検査対象ではないと判断されていたという。このうち、具体的な理由が記載されていたものとしては「重症ではない」(5例)、「濃厚接触者とは判断できないから」(1件)などの回答があり、釜萢常任理事は自身の「推測」として、各地域で検査を実施する体制が十分に確立されていなかったことが背景にあったとの考えを述べた。
同検査のキャパシティー拡充につながるとみられる保険適用のタイミングについては釜萢常任理事が説明中、「5日に保険適用と聞いている」と述べた。しかし、その直後に医療保険担当の松本吉郎常任理事が「(通知が出るタイミングが)5日ではなくて、3月6日以降ということで、完全には決定していない」と連絡を受けて訂正した。
また釜萢常任理事は、保険適用になった後は、医師が入院患者に対して必要と判断した場合に「これまでよりもずっと、検査の実施可能性が高まる」との見通しを示した。一方で、一般の診療所などで広く検査が実施されるには十分な感染防護策が必要だが、現状では重症者の治療に携わる医療機関でもN95マスクなどが不足していることを制約として指摘。検体の搬送にも相応の知識が求められることもこれに加えた。医療現場で不足する医療資機材の確保と迅速な配備に関しては、2月27日に横倉義武会長ら日医幹部が、安倍晋三首相と西村明宏官房副長官に要望書を直接手渡している。
釜萢常任理事はPCR検査の目的や限界についても改めて説明。陽性の場合は「感染していた可能性が極めて高い」が、陰性の場合は「感染していたかどうかは判断できないということがすごく大事なこと」と強調し、不安を感じる全ての人を対象に検査を実施することは「あまり意味がない」と述べた。さらに、肺炎になる恐れが強いなど重症化しそうな患者を、早期に集中治療に回す必要がある事例を「一番の目的」とした。
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