歌手の槇原敬之容疑者が13日夜、覚せい剤取締法違反の疑いで警視庁に逮捕されました。この「覚せい剤」、一体どのような薬物で、一度手を染めた人はどのように克服していけばいいのでしょうか?覚せい剤を使用し、実際に社会復帰した男性に話を聞きました。
「万能感が得られた感覚」の一方で、幻覚や妄想も
警察庁によると、覚せい剤は神経を興奮させ、頭をさえさせる作用があるとのことです。自身も覚せい剤の使用経験があるという神奈川県内の薬物回復支援施設の男性職員は、こうした覚せい剤の作用を、何でも思い通りになる「万能感が得られた感覚」と表現。「力がみなぎってくるようで、パチンコの台を見るだけで、当たりそうな気がする。生活がうまくいっている時は(覚せい剤への)欲求を抑制できるが、気分が落ち込むと手を出してしまう」と話しています。
一方で、効果が切れると、激しい脱力感、疲労感、倦怠(けんたい)感に襲われるそうです。警察庁のまとめによると「壁の染みが人の顔に見える」「他人に狙われる」などといった幻覚や妄想が現れるほか、時には錯乱状態になって、発作的に他人に暴行を加えたり、凶悪粗暴な行動をとることもあるようです。
薬物体験を話して「自分と向き合う」
覚せい剤を使用してしまい、依存症に苦しむ人の一部は、薬物回復を支援する施設に入って社会復帰を目指します。男性自身、施設に入所し、依存症を克服しました。男性が勤める施設では、依存症からの脱却に向けたプログラムが用意されており、入所すると、ヨガやスポーツに取り組んで汗を流したり、会話を通じて他の入所者と交流を深めたりしているそうです。
男性は、リハビリで大切となるのは(1)団体行動をとること(2)薬物に関する自分の経験を話すこと――だと言います。
(1)については、「薬物は使用者の人間関係を壊し、孤立させていくもの。再び手を出さないように、人とのつながりを感じてもらっている」と説明。(2)は、各々が自身の薬物体験を誰かに話すことで気持ちが整理されるほか、「(同じ入所者同士であれば)薬物を使用していたという共通点があるため、理解してもらいやすく、安心感が得られる」そうです。薬物のことを思い出し、また使用したくなるという理由で話すことを避ける人もいるそうですが、「欲求に振り回されないようにするために、(自らをさらけ出すことで)自分としっかり向き合うことが重要」とのことです。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース