走行中の鉄道内で刃物が使われたり、ガソリンなどがまかれたりするような犯罪に遭遇すると、逃げ場がない。特に新幹線は高架上の長距離区間を走るため、標的になると防ぎづらい。どのような安全対策が施されているのか。
「刃物を捨てろ!」「落ち着いて下さい!」
今月17日、静岡県のJR三島駅近くであったJR東海の訓練は、走行中の東海道新幹線「のぞみ」の車内で、乗客が男に刃物で切られたという想定だった。乗客からの通報で駆けつけた警備員は、さすまたで暴れる男の動きを牽制(けんせい)。乗務員はシートの座面を外して盾として使った。この間に乗客の避難誘導などを終え、緊急停車した駅で乗り込んだ警察官が男を確保した――。
防犯カメラは100台以上
東海道新幹線は、日本の大都市を結ぶ大動脈だ。1日あたりの輸送人員は約46万人(2019年度)。停車駅間が長い区間も抱え、のぞみの新横浜―名古屋間は約337キロ、所要時間は約80分かかる。2015年に神奈川県内を走行中の車内でガソリンをかぶった男が焼身自殺し、乗客1人も死亡、28人が重軽傷を負った。18年には、車内で乗客3人が刃物で襲われる事件も起きた。対策は事件のたびに強化されていった。
防犯カメラ以外の安全対策はあるのでしょうか。後半では、さまざまな選択肢のメリットとデメリットなどを検討します。
客室やデッキには乗務員に異常を知らせる非常ブザーや通話装置があり、防犯カメラも各編成100台以上ある。カメラは元々デッキだけだったが、15年の事件を受けて客室内にも増設した。ブザーが押されると運転席や車掌室のモニターに防犯カメラの様子が映り、指令所にも自動送信される仕組みだ。
JR東日本の新幹線にも各編…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル