横浜市で2017年、中国籍の姉妹を殺害したとして、殺人などの罪に問われた岩崎竜也被告(45)の上告審で、最高裁第一小法廷(深山卓也裁判長)は被告側の上告を棄却した。11日付の決定。被告を無期懲役とした差し戻し後の一審・横浜地裁判決が確定する。
判決によると、被告は17年7月、横浜市中区のマンションの一室に侵入し、飲食店従業員の知人女性(当時25)と妹(同22)を絞殺。翌日に2人の遺体をスーツケースで運び出し、神奈川県秦野市の山林に遺棄した。
被告側は公判で、殺害を認めず無罪を主張したが、18年に地裁が懲役23年を言い渡した。しかし二審・東京高裁は「量刑が軽すぎる」として審理を地裁に差し戻した。
地裁は、過去の量刑を参考にできる「量刑検索システム」を使った際、「凶器なし」という条件で検索していたが、高裁は「体格差のある女性の首を5分ほど圧迫した行為は、凶器を使ったのと同じ危険性がある」と指摘。地裁は条件設定を誤り、不合理な量刑にしたと判断した。
これを受け、差し戻し後の地裁は改めて被告を無期懲役とし、高裁も支持した。
上告審で被告側は、差し戻し審は被告は犯人だとの前提で量刑だけが審理され、無罪主張を禁止されたと主張。「裁判を受ける権利の侵害だ」などと訴えた。しかし最高裁は、高裁による差し戻しの判断は、被告が犯人であることを前提としていると指摘。差し戻し後の一審はその判断に拘束されるとして、訴えを退けた。(遠藤隆史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル