宮坂知樹
新潟市内で北朝鮮による拉致事件に遭った横田めぐみさんの父、滋さんが87歳で亡くなって1年にあたる5日、めぐみさんの中学の同級生8人が合唱をし、滋さんに捧げた。
合唱は、めぐみさんの母校の新潟市立寄居中学校(中央区)であり、同級生の池田正樹さんらが中学のコンクールで歌ったという「翼をください」の歌声を響かせた。池田さんらは例年、めぐみさんが44年前に新潟市内で拉致された11月15日にあわせてコンサートを催している。
オンラインで参加しためぐみさんの母、早紀江さんは、滋さんについて「(めぐみさんに)会うことだけを楽しみに頑張ってきた。ものすごく残酷な人生でしたけど、大変なことが日本の中で起きていたことを国民の方々に分かっていただくことができた。大変なお仕事をしてくれた。感謝しております」と語った。滋さんの遺骨は自宅に置かれてあるといい、めぐみさんの弟の哲也さんは「姉の手で納骨してもらいたい」と話した。
同じくオンラインで参加した加藤勝信官房長官は「拉致問題は絶対に解決しなければならない問題であるという強い思いは、国民にも広く共有されている。滋さんが救出活動に全身全霊を捧げたたまもの」と滋さんの実績にふれ、「(めぐみさんとの)再会が実現することなく、お亡くなりになった。じくじたる思いで、本当に申し訳なく思っております。全ての拉致被害者の方々の一日も早い帰国実現に向け、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で行動して参ります」と述べた。
池田さんは「歌っているとき、滋お父様が来ていたように感じた。(滋さんに)『僕たちが頑張るので、天国でゆっくりしてください』とお伝えしたい。早紀江お母様もご高齢。めぐみさんが一刻も早く、明日にでも帰ってくることを望みます」と話した。(宮坂知樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル