女性蔑視発言で辞任を表明した東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)の後任を選ぶ検討委員会が、五輪相の橋本聖子氏(56)を候補として一本化する方向で最終調整していることが分かった。検討委が17日、都内で2回目の会議を非公開で開催して候補を絞り込んだ。
橋本氏は17日夕、国会内で記者団に「ちょっと分からないです」と語った。要請があれば引き受けるのか問われたが、「何もないので」と述べるにとどめ、態度を明らかにしなかった。
組織委は18日に第3回の検討委を開くと発表。会長は週内にも、理事会の互選で決まる。
橋本氏はスピードスケートで冬季五輪に4回、自転車競技で夏季五輪に3回出場した経験を持つ五輪メダリスト。女性で初めて日本オリンピック委員会(JOC)で強化本部長を務めるなど、スポーツ界でも要職をにない、政治家として菅義偉首相ら政府とのパイプもある。
検討委が16日に開いた会議では会長の資質として、五輪・パラリンピック、スポーツに対する深い造詣(ぞうけい)がある▽男女平等などの五輪憲章や東京大会の理念を実現し、将来にレガシーとしてつなげていくことができる▽国際的な活動の経験があり、国際的な知名度や国際感覚がある▽東京大会のこれまでの経緯や準備状況について理解している▽組織運営能力や多様な関係者の調和を図る調整力を備えている――の五つの基準を挙げていた。
組織委は17日、「五つの観点を踏まえて、具体的な候補者の検討が行われた。本日の内容は具体的な候補者の人選に関わるため、新会長決定後に選考プロセスなどあらためて説明する」などとする声明を出した。
橋本氏をめぐっては、自民党幹部からは「彼女以外には思い浮かばない」との声があがっていた。大臣規範には「兼職」を禁止する規定があり、仮に橋本氏が会長に就く場合、五輪相は退くことになる。
新会長選びでは、森会長が元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)を後任に要請した経緯が「密室」と批判された。批判を受けて設置された検討委も、座長で組織委名誉会長の御手洗冨士夫氏(キヤノン代表取締役会長兼社長CEO)以外、メンバーは非公表で、16日には加藤勝信官房長官や東京都の小池百合子知事らから、透明性を確保するよう求める発言が相次いだ。
関係者によると、検討委のメンバーは男女4人ずつの8人で御手洗氏以外はすべて組織委理事。JOC会長の山下泰裕、スポーツ庁長官の室伏広治、東京都副知事の多羅尾光睦、元バレーボール日本代表の荒木田裕子、五輪柔道で2大会連続金メダルの谷本歩実、元体操選手の田中理恵、パラリンピック競泳金メダリストの成田真由美の各氏が選ばれていた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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