太平洋戦争中にフィリピン沖で撃沈された戦艦「武蔵」の元乗組員ら215人の手記を収めた「嗚呼(ああ) 戦艦武蔵」(中央公論新社)が30日、出版される。1970~80年代に2冊の手記集がつくられたが、いずれも戦友会関係者向けで数も限られており、一般の人の目に触れることはほとんどなかった。戦後78年を迎える今、「証言を後世に残したい」と1冊の書籍にまとめて復刻した。
元乗組員らでつくる「軍艦武蔵会」は77年に「嗚呼 戦艦武蔵」、82年に「続!!嗚呼 戦艦武蔵」の2冊の手記集を作成した。ただ、いずれも500部程度が内部で配られただけで、図書館で閲覧することもできなかった。
編集の中心となったのはノンフィクション作家で、武蔵会顧問の手塚正己さん(76)。3年ほど前から復刻に向け、仲間と2冊の手記集の校正作業を重ねてきた。文章を読み込み、分かりづらい海軍用語に説明を付けたり、史実との食い違いに注釈を加えたりした。
武蔵は42年8月、「大和型…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル