31日に大分市で開かれる全日本合唱コンクールに、東北代表として出場する青森市立造道中合唱部(女声合唱)。県大会で東北大会への推薦を決めたものの、新型コロナウイルスの県独自の対策で9月は部活動禁止となり、東北大会は出場辞退を余儀なくされた。それでも音源審査で金賞となり、全日本への切符を手に入れた。1カ月の活動休止を経て1日から練習を再開し、前向きに取り組む部員らの姿を追った。
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10月初め、造道中では久しぶりに放課後に部員のはつらつとした歌声が響いていた。「テンポをあげて」「歌い始めをもっと速く」。細かいところまで調節に余念がない。
部員たちが集まって歌うのは、1カ月ぶりのこと。8月22日の県大会で東北大会への出場権を勝ち取り、意気込んでいるところに、9月の部活動禁止が打ち出された。
「みんなおどろいて、何も考えられないという感じだった」。部長の三津谷知夏さん(3年)は、部活が出来なくなると顧問から告げられたときのことを振り返る。東北大会では、県大会で録音された音源が審査されることになった。
ソプラノのパートリーダーを務める大黒谷美菜さん(3年)は「私たちには何もできることがない。そのもどかしさとか、腹が立ったりもした」と当時の胸の内を明かす。「でも、世界中みんな同じ(状況)だから、受け入れてとにかく前を向こう」と折り合いをつけた。授業後は直帰し、他校の全国大会の演奏を聴いてイメージトレーニングをしたり、部活で行っている体幹トレーニングをしたりして、おのおの過ごしていたという。
そんなところに、部創設来初の全国大会進出という吉報が舞い込んだ。歌は、生で聴くのと録音を聴くのでは迫力が違う。予想外の高評価だった。「まさか私たちが」。部員らはLINEで「頑張ろう」とメッセージを送りあい、離れていてもやる気がみなぎっていくのが感じられた。
部活動の全面禁止は9月末で終わった。待ちに待った久しぶりの部活に、三津谷さんは「まず(仲間と)直接コミュニケーションがとれることがうれしい」。
大黒谷さんは「全員で集まって歌えることにわくわくする」と笑顔を見せた。ブランクを経ての合唱は上出来だったが、基本姿勢や息の吸い方、発声の際の筋肉の使い方など、細かい再調整が必要だった。「時間は限られている。直すところを直しながら、いいところを磨きたい」
とにかく歌えることが楽しい。練習後も、仲間とたわいのない話に声をはずませられる。「人生で一度あるかないかの貴重な舞台。みんなで笑顔で、県大会の時よりもパワーアップした歌声を響かせたい」(吉備彩日)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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