浄土真宗の開祖・親鸞聖人の教えを建学の精神とする東九州龍谷高校(大分県中津市)で、「仏教ソング」を歌って踊る女子生徒のグループ「NUM―NUM GIRLS」(ナムナムガールズ)が今年度いっぱいで活動を終えることになった。コロナ禍を経てメンバーが減少。寺院での最終公演で、生徒たちはあふれるような思いを表現した。
最終公演は今月3日、福岡県築上町の長寿寺であった。メンバー5人が制服姿で登場し、代表曲「夏の終わりのナムナムタイム」などを披露。振り付けを交えて「明るく、楽しく、ナモアミダブツ~」と声をそろえた。一斉にジャンプしたり、集まった門徒らに握手を求めたりもした。アンコールでは、引退した3年生らも加わった。
グループは2015年4月、学校の仏教行事を担う宗教部や聖歌隊の有志で部活動として発足。生みの親は、仏教や英語を教えている紅楳聖(こうばいしょう)教諭(49)。幅広い世代に仏教を身近に感じてもらおうと、平易な言葉でオリジナル曲を作詞し、知人に作曲を頼んだ。寺院での法要やイベントなどに出演を重ね、19年には韓国でも披露した。
歌とダンスで仏教を分かりやすく発信する活動は好評だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で約3年間、公演ができなくなった。今後もグループとして「仏教伝道活動」を続けるのは難しいと判断し、幕を閉じることにした。
最前列には
グループ結成前の14年5月、一人の女子生徒が病気で亡くなった。悪性リンパ腫を患い、入学後一度も登校できないまま旅立った原亜祐美さん(当時1年)。悲しみに打ちひしがれた同級生がグループの初代キャプテンを務めた。最終公演では最前列に亜祐美さんの両親の姿があった。メンバーは涙ぐみながらバラード「さよなら先輩」を歌い、父親の順治さん(55)は「命の大切さを知り、生かされているということを忘れないでほしい」と話した。
最後のキャプテンとなった、衛生看護科2年の山田美菜(はるな)さんは公演の自己紹介で、看護師になる夢を語った。花束を贈られ、「みなさんが盛り上げてくれて、楽しかった」と満足そうな表情を浮かべた。(貞松慎二郎)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル