東京都新宿区歌舞伎町のホストクラブで女性らが売掛金で飲食し、高額請求が相次いでいる問題を受け、同区の吉住健一区長は17日、記者会見で「ホストクラブに売掛金の自主規制を求めていく」と述べた。実効性のある自主規制ルールを作るために、大手の経営者らと話し合いをしているという。
また、同区は売掛金で多額の借金を負った人などに向けた弁護士による法律相談窓口を12月から設置すると発表した。毎週木曜日の午前10時~正午で、各日4枠で1枠1時間。同一案件で2回まで無料で、区役所の区民相談室で行う。区民でなくても被害を受けた人が対象で、商店街でも相談窓口を設ける予定という。
会見で吉住区長は、歌舞伎町のホストクラブなどでの売掛金による高額請求により、女性が性風俗で働くよう誘導されたり、家族が取り立てられたりする事例があると説明。「区内の消費者被害であり、ときに犯罪的な行為もみられる」とし、歌舞伎町商店街振興組合、被害相談を受ける一般社団法人青少年を守る父母の連絡協議会、新宿署と連携して啓発などの対応を行うとした。
区長によると、区内のホストクラブは約300店舗あり、客の売掛金は1千万円台になることもあるという。
一方、売掛金禁止条例について区長は「(創設は)かなり難しい。憲法の職業の自由、民法の契約自由の原則などのハードルがある。法律を超えた禁止条例はできない」と述べた。また、「歌舞伎町は第2次世界大戦で破壊され、道義的繁華街としてつくられてきた。今起きている状況は、先人たちの志が生かされているのか。この街が再生するのは、いまが最後のチャンスと認識してほしい。お金を集めるためなら他人を不幸にしていい、というのを、この街のルールにはしてもらいたくない」と訴えた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル