病気で働けなくなり生活保護を受ける祖父母と、看護学校に通いながら病院で働いて自活する孫が一緒に暮らす一家で「孫の収入が増えた」と、生活保護が打ち切られたのは妥当な判断だったのか――。そのことを問う訴訟の控訴審が10日、福岡高裁で始まった。
争点になっているのは「世帯分離」だ。経済的に苦しむ家庭の子どもの就学を助け、世帯全体の自立につなげようという運用が解除されたのはなぜか。
熊本県内に住む祖父母は家庭の事情から、幼い頃に孫を引き取って育てた。小学校で「お前のところお母さんがおらんとだろう」などといじめられた孫は、部屋に引きこもりがちになった。
中学でも引きこもりが続いたが、自らの意思で定時制高校に進学。アルバイトをしながら卒業まで通い続けた。高校卒業後はスーパーに勤め、やがて手に職を付けようと看護学校への進学を決めた。
早朝に起きて病院で働き、その後に学校で講義を受けて、夜9時過ぎに帰宅する生活が始まった。
准看護師になった途端、自宅に来た県職員
その年の6月、祖父に皮膚がんが見つかった。3年ほど前にはみかん農家で働いていた時に風にあおられて転落する事故に遭った。一時は意識不明となり、その後も手足にしびれが残って働けなくなっていた一方で、医療費がかさむようになった。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル