外国籍の住民に日本国籍と同じ条件で投票資格を認める内容が注目を集めた東京都武蔵野市の住民投票条例案。賛否が割れ、昨年12月に市議会で否決され廃案となった。あれから5カ月。市民たちの間で住民投票制度について改めて学ぼうという取り組みが始まった。(井上恵一朗)
JR武蔵境駅前のビル多目的室に21日夜、約130人が集まった。条例案に賛成していた市民を中心にできた「住民投票条例の制定をめざす武蔵野市民の会」が主催した学習会だ。
会の代表を務める高木一彦弁護士は冒頭、条例案をめぐって右派勢力が排外的な言説を繰り返したことへの憤りを口にした。市議会の否決理由が市民への周知不足だったことに触れ、「市民全体での合意形成が必要とされるなら、市役所にお任せでよいということはない。私たちもこの課題に取り組まなければ」と学習会の趣旨を述べた。
第1回のテーマは、「なぜ住民投票制度は必要なのか」。最初の講演者は、哲学者の國分功一郎さんで、2013年に小平市の都道建設の見直しを問う住民投票に関わった経験から、その意義を語った。
「行政や議会が、民衆の望むところからかけ離れた決定を下すことはありうる。それに対して公的に、自分たちの望むところを表明する一つの手段。議会制民主主義を補完する制度として機能する」
あらかじめ住民投票条例を設けていない自治体の場合、住民から実施を求めるには有権者の50分の1以上の署名が必要となる。國分さんは、署名が集まっても大半は議会で否決されてきた現実を示し、制度設計で重要なのは「一定数の署名が集まれば、必ず住民投票が実施される制度にすること」とした。
■「厳しすぎる」國分さん指摘…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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