死にゆく人は美しい 散らかった相談者の心にただ耳を傾ける

僧侶 松山照紀さん

 私は長い間、自分のことを“変人”と思っていました。なぜなら死にゆく人のことを、本当に美しい、きれいだと感じるので。しわくちゃな顔も、入れ歯がなくてアフアフしている人も、同じように輝いて見える。それは一体なぜなんだろうと。

 7年前に姫路市の不徹寺(ふてつじ)の住職になってから腑(ふ)に落ちました。江戸前期の大僧侶盤珪(ばんけい)(1622~1693)の教えに感銘を受けた女性俳人田(でん)ステ女(じょ)が夫亡き後に出家し、創建した禅寺です。

 盤珪(ばんけい)はここ網干(あぼし)の出身で、人は生まれながらに備わった仏心で全ての物事が解決できると教える「不生禅(ふしょうぜん)」を広めた人物。その言葉を勉強するうちに、「すべて手放して素に戻ることが人間を美しくする」と気づいた時は、本当にうれしかった。私も全てを投げ出したステ女さんのように、生涯これを追いかけようと思いました。

 生まれてきたから死ぬ、それ…

この記事は有料記事です。残り1015文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment